August 11, 2004

台湾の大学進学率問題

最近ずっと英語の記事ばっかりだ、と文句を言われたので久しぶりに母国語で。昨日台湾の新聞(中國時報)を買い、ランチをしながら読んでいた。中國時報は藍緑双方の陣営から「敵方に見方が偏っている」を批判されていることからも分かるように比較的独立した政治的立場をとっているし、漫画チックな大袈裟な報道も比較的少ないので、好んで読んでいる。しかし、バサバサとページをひとめくりして、びっくりした。第1面から第3面まで、すべて大学入試の記事だったからだ。記事の要点は、入学試験の結果、台湾で進学希望者の87.05%が大学へ進学することになり、この数字が世界最高となってしまった、このままでは大学の高校化、大学院の大学化という現象がまぬがれない、というものである。。。

台湾の大学入試制度は、「聯考」制度といって、国立、私立の別なく、日本で言う第1次センター試験の一斉試験の得点数でどの大学に入れるかが決まる。各受験者の得点数は受験番号ごとに公開され、その後各大学の各学部が入学に必要な点数を公開する。昨日はちょうど後者の発表であったようだ。新聞記事は進学率の異常な高さとともに、学力の低下も指摘している。「今年度合格点数のワースト10大学」みたいなものをリストアップして載せている記事にもびっくりした。

問題の所在は、聯考制度だったり、異常な高学歴志向だったり、大学の質の低下であったり、色々であるが、こういう報道に表れるメディアの「点数への執着」が問題を増長しているように思えてならない。日本でもいわゆる「有名大学」と呼ばれるカテゴリーはあるし、偏差値教育の問題は前から指摘されているし、無意味な高学歴志向(う、耳が痛い)の問題はある。が、少なくとも全ての大学が頭から細かく、はっきりとランキングされてそれに従って合格者が決まる、というわけではないし、学校のイメージ、特徴、思想、伝統というものも進学する学校の決定要素になるわけである。文部科学省の大学評価も、研究環境や教授の質など複数の要素を総合的に見ている。アメリカでは、日本よりもさらに大学間の相対的ランクが曖昧だし、USNewsなどが各分野でのトップ校をランキングにして発表しているが、それも教授、クラス、設備の質、論文の量などを見ているものであって、偏差値のリストではない。ましてや、新聞でSAT最低点数の学校をリストアップするような報道は想像さえつかない。

新聞の前3面を使って「こんなに点数が低くても大学に入れるなんて!」という内容の報道をすることが正常だろうか。本当に超高学歴問題を解決する役に立つだろうか。大学の質を向上しなければ!という議論はその通りではあるが、では大学の質をどう定義するのか、という問題は置き去りにされている。大学の質は、教育と研究の質である。教育や研究の質は、それぞれの大学の創造力の競争の結果生まれる。社会全体が「点数」だけに執着することが、それぞれの大学から個性を消し、むしろ大学の質を下げるような結果を生み出しているような気がしてならない。

Posted by sayaka at August 11, 2004 11:52 PM | TrackBack
Comments

そか。やはり問題は、大学の(無意味な)序列化と学歴低下に収斂しているような気がしますね。おかげさまで、僕の母校もそのうちなくなる可能性がある、という話を聞きましたけど。。でも、87%の進学希望率ってすごいなあ。

Posted by: tianan at August 12, 2004 12:37 PM

コメントありがとう!え、ソウル大学がなくなるってことあり得るの?やはり東大のように諸悪の根源みたいに言われてるの?
87%は入試受験者の中の合格率で、全国の進学希望率はきっとそれよりは低いと思われる。それにしても高いけどね。。。

Posted by: Sayaka at August 12, 2004 04:50 PM